日本酒のふるさと・奈良から、秋のセレクト
旅先で、ふと出会った一杯の酒。
それが、その土地の歴史や文化への扉になることがあります。
奈良の地酒は、日本酒の原点ともいえる深い歴史があります。

菩提酛とは
室町時代、奈良・正暦寺で生まれた「菩提酛(ぼだいもと)」は、現存する中で最古の酒母製法。
そのルーツは、室町時代に奈良・正暦寺で僧侶たちが編み出した発酵技法にあります。
一度は途絶えかけたこの技術が、奈良の蔵元たちの手によって現代に蘇りました。
最大の特徴は、「そやし水」と呼ばれる乳酸菌で自然発酵させた酸っぱい仕込み水を使うこと。
米と水を自然発酵させて乳酸を得るこの工程は、雑菌を抑えるだけでなく、酒に複雑な酸味とコクをもたらし、まるで熟成された白ワインのような味わいを生み出します。夏場でも安全に酒造りができる、当時としては画期的な方法でした。
同じく乳酸発酵を活かした「水酛(みずもと)」という製法もありますが、
それは各地の蔵元が独自に編み出したもの。
「菩提酛」は、あくまで正暦寺という“土地の記憶”とともに醸される、奈良だけの酒です。

cofuniaでは「菩提酛 飲み比べセット」をご用意しています
cofuniaでは、そんな菩提酛を含む奈良のお酒を、季節にあわせてセレクトしています。
今月のラインナップは、以下のとおりです。奈良・正暦寺にルーツをもつ「菩提酛」の世界を、ぜひ体験してください。
今月の飲み比べセット
【油長酒造】
● 風の森 ALPHA 5 2024(菩提酛・火入れ)
貴醸酒の製法を取り入れた「ぬる棚推奨」の菩提酛。
口当たりはフレッシュで、広がるのはカラメルのような古酒感。
りんごのコンポートのような甘酸っぱい果実味がふんわりと。
● 鷹長 菩提酛純米酒〈生〉(油長酒造・無火入れ)
風の森 ALPHA 5 2024/油長酒造 【菩提酛】
貴醸酒の手法を取り入れた「ぬる棚推奨」の菩提酛。口当たりはフレッシュ。じんわりと広がるカラメルのような古酒感に、リンゴのコンポートような果実感。
鷹長 菩提酛純米酒(生)/油長酒造 【菩提酛】
極甘口でありつつも乳酸系の爽やかな酸が効いた甘酸っぱい味わい。余韻にかけて穀物感や複雑味と共にトロピカルフルーツ感も。
▶︎ 火入れ前(生)と火入れ後、そのちがいは?
火入れ(加熱殺菌)によって、酒は落ち着き、味にまとまりが生まれます。
生酒は発酵の余韻が残るような、生き生きとした香りや味わい。
一方で火入れ酒は、まろやかに深まった旨味や香りの広がりが魅力です。
ぜひ、飲み比べてみてください。
篠峯 凛々 純米吟醸 無濾過生原酒/千代酒造
ドライでフレッシュ、軽やかさのあるクリアな飲み口、品のよい旨みに爽やかな酸。瀬戸雄町部会による瀬戸雄町米をシンプルに醸し上げた純米吟醸酒。
つむぐ 無濾過生原酒 2024/稲田酒造
山添村産のもち米100%で醸造された日本酒。マスカット系の爽やかさに、ほのかな穀物感。ほんのり甘やかな飲み口に、キリッとした酸を伴うクリアな旨み。

【正暦寺のご案内】
正暦寺(奈良市菩提山町)は、静かな山あいに佇むお寺です。
境内には、菩提酛の資料や展示も残されています。
紅葉の季節には、美しい色づきとともに、酒のはじまりの風景が浮かび上がってきます。
http://shoryakuji.jp
拝観時間:9:00〜16:00(秋期は17:00まで)

